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前川貴行新刊「WILD SOUL 極北の生命」のご案内

水曜日, 6月 16th, 2010

前川貴行のハクトウワシの写真集「WILD SOUL 極北の生命」(小学館)が6月15日に発売されました。
ぜひ書店でお手にとってご覧ください。
また、同名の写真展を富山県高岡市の「ミュゼふくおかカメラ館」にて6月19日〜8月29日まで開催します。

以下、写真展に寄せたメッセージです。

 クマに魅せられてアラスカやカナダの極地を旅するようになり、様々な動物たちの営みや原始の風景を見つめてきた。そうした時を重ねるなかで、いつしかハクトウワシの存在が僕のなかで膨らみ、その風貌に強固な意志を秘めたようなこの鳥を、本格的に追いかけてみようと思うようになった。アメリカのシンボルでもあるこの鳥は、1960年代には絶滅の危機に瀕していた。家畜を襲う害獣として長年に渡って乱獲されてきた事と、農薬汚染の影響による卵殻の薄膜化などによって、ヒナがかえらなくなった事が大きな原因とされた。ハクトウワシを狩った者に、懸賞金が出された時代さえあったのだ。
 
 現在、ホッキョクグマを取り巻く環境悪化を象徴とする地球温暖化は、何億年も繰り返してきた地球の自然なサイクルかもしれないが、全世界規模の人為的な問題として、人類の団結した対策が必須であるのは周知の通りだ。かつて、ハクトウワシが絶滅の危機に瀕していたのは、北米という広範囲でありながらも限定された地域内での環境問題や、人的被害によるものだった。それが近年では、本格的な保護法の制定と農薬の規制、身近な環境問題の改善に取り組んだおかげで、その個体数を飛躍的に戻し、絶滅危惧種の指定からも解除された。これは現代の環境問題に対する考え方のモデルケースとなりえる好例で、これらの発想を世界規模に広げていくことが、ひいてはホッキョクグマの生息環境を守り、絶滅へと向かう動植物を一つでも救う手段になり得るのではないかと思う。

 でも僕が動物たちにレンズを向けるとき、このような考えは頭の中からほぼ消え去ってしまう。対峙した命の営み、今生きている最高の瞬間をワンカットに凝縮し、四角いフレームから限りない想像が広がっていく。そんないい写真になるように、ファインダーの中で極限までせめぎ合い、試行錯誤を繰り返すだけである。  

前川貴行